参考資料紹介
数え切れないほど数多く存在するトランスフォーマー関連書籍の中から
現時点で特に重要なものをいくつか紹介していきます。
「トランスフォーマージェネレーション」(ケイブンシャ) ※絶版
G1とG2の膨大な数の玩具を国内版と海外版の設定を併せて詳しく紹介。
さらにUS、UK、日本のコミック展開の詳細、アニメ版の設定資料集、テレビマガジン等で発表されたイラスト、玩具企画検討用のラフ、さらに玩具開発者のインタビューと、多岐に渡って豪華で至れり尽くせりな内容。トランスフォーマーについて学びたいときはまずこの本を手に取ることをお勧めします。
日本国内版の資料としても十分ですが、国内ではそれまであまり紹介されることの無かった海外版の設定がかなり詳しくとりあげられているという点でも重要。この一冊に加えて国内版については「G1キャラクター大全集」、海外版については「アルティメットガイド」を揃えればかなりの事が解ります。
編集を担当したのは五十嵐浩司氏を筆頭とするチーム。五十嵐氏はこの他にも「ガンプラジェネレーション」や「∀ガンダム3Dブック」など、本書同様にマニアックで充実した名ムック本を数多く手がけていらっしゃいます。
「トランスフォーマージェネレーション
デラックス」(ミリオン出版)
この「デラックス」は過去にケイブンシャから発売された「トランスフォーマージェネレーション」の復刻版。
旧版は2001年発行ということで、それほど古い本ではなかったのですが、発売されてまもなく出版社が倒産してしまった為、まもなく廃刊となり入手困難な状態が続いていたのです。
「デラックス」は当時手に入れられなかったファンの要望に答えミリオン出版から復刊されたもの。
あらたに18ページが追加されています。
こちらもしばらく品切れ状態だったのですが、最近増刷され入手しやすくなっているようです。
「トランスフォーマー G1キャラクター大全集」(宝島社)
初代TVシリーズ「戦え!超ロボット生命体
トランスフォーマー」から劇場版、「2010」、「リバース」の海外製作のアニメ作品と、「ザ・ヘッドマスターズ」から「合体大作戦」までの国内版シリーズのストーリーと登場キャラクターに焦点をあてて詳しく解説。G2に関しても少しだけ紹介。玩具版の紹介は敢えて切り捨てたストイックな内容です(バイナルテックやマスターピースのプロモーションを除く)。
編集は「トランスフォーマージェネレーション」とほぼ共通の方々が担当された模様。
玩具紹介を中心に編集された「トランスフォーマージェネレーション」を前提とし、それを補うかたちにある(と思われる)内容で、両方あわせて読むことで国内展開の玩具と映像作品双方の流れを詳しく把握出来るようになっています。「
別冊宝島」系のエピソードガイドということで比較的ライトな本だと思われがちかもしれませんが、内容はとっても濃いです。各地の書店でまだ見つけることができると思います。
「ビーストウォーズ ユニバース」(ソニーマガジンズ)
※絶版
海外でのヒットを受け日本でも放送された「ビーストウォーズ」。
しかし、その日本語版は往年の広川太一郎氏もかくやといった吹き替え声優達の暴走により、フザけまくりのお笑い番組になってしまいました。
「クィーンコング」や「Mr.Boo」がフェイバリットな私にはそれはそれで海外輸入映像史に残る偉業なんですが、しかし原版の「ビーストウォーズ」は、実はシリアスなドラマと旧トランスフォーマー世界をも内包する深遠で硬派な設定が大きな魅力だったのです。日本語版ではそれが目の敵の様に軽視されていたのもまた事実。日本でも「ビーストウォーズ」は人気作品として浸透してはいたものの、ビースト戦士達の一見してファニーな容姿と相まって、曲解されたまま受け入れられていた感は拭えません(もっとも、それは本書を読んだ後だからこそ当時を振り返ってそう思うわけなんですが)。
本書はそんな「ビーストウォーズ」の海外での本来の姿を日本国内へと伝えるために企画されたムック本です。
冒頭からアニメ版のストーリーガイドとキャラクターは本編で語られることのなかった裏設定も交えた詳細な解説が添えられています。重要ながらも諸般の事情で割愛されてしまったロストエピソードに関してもフォロー。
本編における疑問点がこれらで解消されるといった感じです。
中盤から深みを増す旧トランスフォーマーシリーズとの関わりにも、ほんとに詳しすぎるほど言及しています。
後半に収録されている「ビーストウォーズ
グロッサリー」はその極めつけ。
ビーストウォーズ時点でのトランスフォーマー世界を構成する様々な用語を徹底解説。
これはビーストウォーズ本編のみならず、もっとも進んだ未来世界の観点からトランスフォーマー世界を俯瞰したものとして、G1、G2、そしてそれ以前の歴史をも含むシリーズの全貌と世界観を知る上でかなり重要な文献となっています。
誤解を恐れず例えるならば、この本は「ガンダム」における「ガンダムセンチュリー」、「マクロス」における「THIS
IS ANIMATION マクロスプラス」に相当する「トランスフォーマー」最重要設定資料といえるでしょう。
それは本書に収録のスタッフインタビューにもあるとおり、アニメ版の製作スタッフが旧作をおろそかにせず、徹底的なリサーチを行った上で新作に反映させている事の証拠でもあります。それはもちろんこの本の製作に関わった方々にも言えることです。
単なる人気シリーズの名前を借りるだけの続編モノではなく、それぞれがトランスフォーマーシリーズに対し真摯に接して新作を生み出しているわけです。
これは日本製作の「トランスフォーマー」に限らず、残念ながら日本における続編モノ作品の製作に関わる人達の多くに欠けている要素といえるでしょう。意外なほど日本のアニメやそれに関連するキャラクター市場ではそういった部分に神経質ではない傾向にあるのです。
本書はこれだけでは終わりません。
テックスペックとパーソナルストーリーを含めた玩具紹介も大幅なページを割き収録。
各種イベントや某ファーストフード店の限定商品なども網羅しています。
玩具の仕様が決定されるまでの経緯や、本来はアニメ版と全く異なる設定でスタートしていた玩具シリーズ独自のストーリーにも言及。そのなかにはかつてのG1キャラクターのその後を記した物もあり、こちらも大変興味深い内容です。
とにかく、本書は既に日本版の展開に触れてファンであった方にとっても、きっと認識が一変し、さらにはトランスフォーマー世界に対する造詣が増す事うけあいの内容です。「メカニックではなく生身の動物に変形してしまうコンボイ達」や日本版の「お笑い一辺倒」というイメージから「ビーストウォーズ」そのものに対して嫌悪感を抱いているようなアンチビーストウォーズ派のオールドファンにも、いちどは手にとって頂きたい一冊です。
しかし、現在は絶版になり入手困難なのが残念でなりません。
「トランスフォーマージェネレーション」のように一刻も早い復刊を望みます。
※参考
復刊ドットコム「ビーストウォーズ ユニバース」のページ・・・http://www.fukkan.com/vote.php3?no=25778