第一回 スモークスクリーンfeat.スバル インプレッサ WRC 2003
型番:BT-01
所属:サイバトロン
地位:戦術家
変形:ラリーカー(スバル インプレッサ WRC 2003)
声優:江原正士氏(旧アニメシリーズ時) ※この状態では映像作品未登場 
登場作品:トランスフォーマー バイナルテック


トランスフォーマーバイナルテックシリーズの第一弾として発売された製品です。

そのトップバッターとして抜擢されたスモークスクリーンは、旧作では日産フェアレディZ(ダットサン280ZX)に変形する三人のサイバトロン戦士の中のひとりで、レーシング仕様の車体に変形していたキャラクターでした。
フェアレディZにカーモードを持っていたサイバトロンは、このスモークスクリーンの他にストリーク、プロールの二体。それぞれノーマル車、パトカーとそれぞれ仕様が異なっていました。

今回のスモークスクリーンは新たにスバルインプレッサのWRC(世界ラリー選手権)2003年仕様に変形するボディを獲得。旧ボディは日産レーシングカー定番の赤と青で彩られていましたが、新しいボディは実車のインプレッサ忠実にブルーを基調とし、蛍光イエロー系で各種マーキングをあしらったパターンです。

また、ストリークに関してもスモークスクリーンに続いてバイナルテックで復活を遂げています。
こちらはシルバー塗装の市販車仕様となりました。
製品的には先行して発売されたスモークスクリーンのリデコレーションアイテムという扱いになりますが、ただラリーカーを市販車仕様に戻して色を塗り替えただけにとどまらず、スモークスクリーンで指摘された主に変形に関する課題点を改修したかたちでの登場と相成りました。


いざ新旧スモークスクリーンを比較してみるとかなり様変わりした印象を受けますが、このブルーのカラーリングに関しては、旧製品の元となったダイアクロン・カーロボット版フェアレディZロボの製品にブルー&シルバーのカラーリングバリエーションがあった事、ハスブロが海外展開前に試作品としてブルーのフェアレディZロボを公開していた事、さらにトランスフォーマーとして発売された後もブルーのストリーク(*)がごく一部に流通していたという噂などもあり、もしかするとそれら諸々の経緯も踏まえた上で、今回のブルーの車体という選択があったのかもしれません。

極私的な感想で恐縮ですが、子供の頃に上記のブルー&シルバーのダイアクロンを持っていたことがあり、トランスフォーマーとして仕切り直しスタート後もずっとそれを大事にしていた思い出があるため、今回の商品にはなにか不思議な愛着があります。

*ストリークの海外名はブルーストリーク。でも通常版はシルバーカラーで発売されました。
 ちなみに、旧スモークスクリーンとプロールは「トランスフォーマーコレクション」で復刻されています。


バイナルテックシリーズは実在の自動車メーカー監修による1/24ミニカーと初代トランスフォーマー登場キャラクターのリメイクとの両立がテーマになっています。カーモードを見る限りこれがロボットに変形するとは思えない完成度を誇りながら、ロボットモードに関しても、そのプロポーションや可動ギミックは旧トイと比較にならないほど進化しています。

とはいえこのスモークスクリーン、変形の難易度は全ラインナップ中でもかなり高い部類に入りますね。
エッジの部分も塗装がはがれやすくなっています。変形にはそれらの点を注意して遊ぶ必要があります。

シリーズ開始から早二年近く経ち、ラインナップも15番を数えるほど(リデコ含む)に増えた現在の目で見ると、さすがに未完成な部分も感じずにはいられないというのが正直なところ。
しかし、それこそはバイナルテックシリーズが現在進行形で常に改善を繰り返し進化を重ねている何よりの証と言えなくもありません。初期ラインナップであるゆえの未熟な点を補って余りある、後発のラインナップにはない魅力がこのスモークスクリーンにはあります。
最大のウリであるWRCインプレッサのロゴステッカーの数々を完璧に再現したボディは圧巻です。


バイナルテックシリーズのスタート当初の時代設定は商品展開が始まった時期と同じく2003年。

コズミックルストなる宇宙病原体を使用したデストロンの破壊工作により修復不可能なまでにダメージを負った地球駐留のサイバトロン戦士。その彼らを再生するべく、地球の各企業による協力体制により生み出された新型ボディが、このバイナルテックトランスフォーマーの姿です。

コズミックルストは旧TVシリーズ第48話にも登場した設定です。
滅亡したサイバトロンの植民惑星に降り立ったメガトロンが運悪くそこで感染してしまい酷い目にあうといったお話でしたが、今回はデストロンが兵器としてそれを利用したわけです。旧作ではサビストップなる特効薬が窮地を救いましたが、その当時からサビストップは貴重な物だったらしく、2003年当時の地球には既に存在しなかったのかもしれません。


そもそも初代コンボイやメガトロン達が地球に不時着したのが約400万年前。
そして1980年代に仮死状態だった彼らが再起動したのが初代TVシリーズの世界ですが、今回の舞台はそれから10年あまりを経て、ちょうど劇場版の舞台である2005年の「ユニクロン戦争」より以前という感じ・・・、なのですが、近年のシリーズ「ビーストウォーズ」のなかで、本来はさらに未来の世界に存在していたはずの次世代トランスフォーマー達がタイムスリップし、初代コンボイたちが眠っている太古の地球に辿り着いてしまったため、彼らが存在してしまった事が間接的に後の歴史に少なからず影響し、タイムパラドックスをもたらしているようです。

つまり今回の「バイナルテック」の舞台は初期シリーズの世界観(おもにTV版ベース?)のなかにありながら、TV版「ビーストウォーズ」の物語からのある「遺産」の介入により、本来であればその後に続くはずの劇場版や「2010」とは展開の異なるパラレルワールドへと突入してしまうのです。
しかし、だからといってトランスフォーマー達の宿敵であるユニクロンとの対決が完全に回避されたわけではなさそうで、現在展開中のストーリーの中にも今後ユニクロンの登場をうかがわせる記述がみられます。

歴史改変が今後もさらに進めば、「ビーストウォーズ」の第三勢力であるヴォックの介入も大いに予想されます。
一体どうなってしまうのか予測もできませんが、今後はさらにめまぐるしく激しい展開が待っているんじゃないでしょうか。
このように一見して初代トランスフォーマーのリメイクのようにも思われる「バイナルテック」の世界ですが、初代トランスフォーマーの世界観を引き継いだ続編である海外版「ビーストウォーズ」の設定が各所にちりばめられており、単なる懐古主義ではないことが窺い知れます。
このあたりの海外版「ビーストウォーズ」を含むトランスフォーマーシリーズの一貫した大河ドラマ的ともいえる世界背景は、とてもひとことでは語れないものがありますので、いずれ別項をたてて解説と紹介を行う予定です。


この「ビーストウォーズの影響により変化してしまった世界」という設定は「バイナルテック」だけでなく、どうやら「ロボットマスターズ」に関しても同様のようで、こちらはより日本版のストーリーに沿ったかたちで「バイナルテック」とは違った展開のパラレルワールドが進行しています。
国内版のキャラクターが新旧入り乱れて、「バイナルテック」以上に混沌とした世界を築き上げています。


バイナルテックにおける再生後は、ラリー仕様のスバルインプレッサのカーモードを得たスモークスクリーン、続いてストリークもインプレッサ市販車仕様として登場とくれば、やはり残るプロールもインプレッサのパトカー仕様での登場かと思われたのですが、プロールはホンダインテグラのパトカー仕様での登場と相成りました。
バイナルテック再生後のビークルモードの車種は、その多くが旧作の車種やメーカーに縛られない物となっていますが、プロールの例をみるかぎり旧作で同型のロボットであったとしても、みんな同じ車種に再生するというわけではなさそうです。


別キャラクターであるストリークを除くとしても、このスモークスクリーンにはカラーバリエーションが計四種リリースされています。WRC2003年仕様の7号車と8号車が第一弾として登場し、続けて翌年の2004年仕様として細かいパーツ変更とロボットモードの武装追加が図られた1号車と2号車が登場しました。
これら四種はストーリー中でも別個にそれぞれ並行して存在するものとして設定され、「Genetronic Translink(GT)」というシステムにより、元のスモークスクリーンのパーソナルデータを四つの再生ボディに複成したという説明にないます。

もともとの彼はコンボイ司令官の信頼も厚く、仲間の悩みや心配事を聞きだすよう頼まれていたのだとか。
一方でギャンブル好きで調子に乗ると度を越してのめりこんでしまうという欠点も。

海外版設定では「卑劣漢でありながら、魅力的で親しみやすい男」、「裏表のある人なつっこい社交家」とも評された彼。戦いにおいてはスモークスクリーン(煙幕)という名が示すとおり、「敵を混乱に惑わす=煙にまく事」が任務ともあります。
戦いにおいても味方とのつきあいにおいても、とにかく「意外性のあるキャラクター」だったという意味なんでしょうか。高田純次みたいな。
そんな奴らが四人も五人も増えて一堂に会したら大変そうですが。

ちなみに裏表のある性格といえば、もっと凄い奴もいて、サイバトロン側シックスチェンジャーのクイックスイッチ(海外版設定)は「気まぐれに自分の性格を変えるのが特徴」なんだとか。ときに哀れみ深かったり、非情だったり、友好的だったり、憎しみに満ちていたり、楽しそうだったり、怒ってたり。他人から予想がつかないのが彼の性格・・・なんだとか。とんでもない奴ですね。

それはともかく、前述のプロールに関しても、パトカー仕様のインテグラに加え、ノーマル車仕様のインテグラがラインナップされており、こちらもGTテクノロジーにより並行して再生された二人のプロールという位置づけになるのでしょう。


現実の世界では2003年にこのインプレッサは見事WRCで優勝したわけですが、2003年仕様の1/24モデルは今回紹介したバイナルテックでしか商品化されていなかったため、トランスフォーマーとは無関係のユーザーがこの商品を手に取るといった光景も多く観られたそうです。
WRCにおけるスバルワールドラリーチームは活躍は近年めざましく、ぺター・ソルベルグのインプレッサは毎回上位に食い込んでいます。

WRCはここ数年のトランスフォーマーとおなじテレビ東京系で定期的にTVでも特番が組まれ放送されているので、トランスフォーマーをきっかけにWRCインプレッサの存在を知った人(実際私なんかはそうなんですが)も、是非いちど「世界ラリーで活躍する実車のスモークスクリーンの勇姿」をご覧ください。

WRC・・・http://www.wrc.com/

ラリージャパン(日本開催のWRC大会)・・・http://www.rallyjapan.jp/j/

スバル・モータースポーツ・・・http://www.subaru-msm.com/

テレビ東京WRC関連ページ・・・http://www.tv-tokyo.co.jp/wrc/


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